遠くから来たもの同士だね。
ロンドンをはじめて訪れた日。
その日は空が真っ青に晴れていて、「ロンドンは雨が多い」と聞いていた私は「なんだ、こんなに晴れるんだね、よかった〜」と思ったのでした。
宿にたどり着いたのは14時すぎころ。
疲れたし、ちょっと寝ようかな…
…いや、待て。
今日晴れていても明日起きてみたら曇ってるかも。
写真を撮るなら今日がチャンスかもしれないよ?
体に鞭打って外出しました。
目指すは、私でも知っている、ロンドンと言ったら!
わー!!!
本物だ〜〜〜〜〜!!!😂
私の、大好きで尊敬するゼミの先生。
先生は、この国と、世界の関係史を研究してるんだな。
ずっとこの目で見てみたかった、ロンドン。
なんだかとても感慨深かった。
こんにちは、ビッグ・ベン!
こんにちは、ロンドン!
川を挟んで対岸から撮ったり、近くで撮ったり、街中から撮ったり。
うろうろしてはビッグ・ベンばかり撮っていました。
本当にいい天気。
これは夜景までしっかり収めておこう!
そう決めて、しばらく街歩きをしたあと、夕暮れから川沿いの道で寒さに耐えながら粘っていました。
だんだん日が暮れてきて、あたりも綺麗な夜景になってきたので、一人でぶつぶつ言いながら写真を撮っていると。
「すみません」
ハッ…!
い、いつの間に…人が…!?
見ると、眉の濃い精悍な顔をした若い男の人が一人、立っていました。
「写真、撮っていただけますか」
大きなカメラを持っていると、こんなふうによく写真をお願いされます。
「ああ、ハイ!」
受け取ったのはCanonの一眼レフ。
私もCanonだから、使い方はわかるぞ♪
「あれを背景にお願いします」
「わかりました!」
パシャー!
…が、あたりは日が落ちてしまっていて、暗い!
顔が写らない!
「ああっ…見て、顔が…!」
「ほんとだ、ちょっと、もう一回いい?」
「いいよいいよ!」
「ごめんね」
パシャ、
「ああ…」
「ああ…」
「フラッシュ!フラッシュを焚くのはどう?」
「あ!お願い!」
パシャー!
「ああっ、ダメだ、、」
もう一回、もう一回お願い、顔がもうちょっと…!
粘る男の人。その熱意に応えたい私。
「あっ、ねえ、あの街灯の下はどう?」
「ああ!いいね!」
パシャー!
何とか、顔が半分だけ、写りました。
「あ〜、顔半分が限界かも」
「ほんとだ、でも写って嬉しいよ、ありがとね」
出会いの記念に、私のカメラでも撮らせてもらいました。
「やっと、ここに来ることができたよ」
その人は言いました。
「どこから来たの?」
「僕、メキシコ」
「え〜〜!メキシコ!遠くから来たんだね〜!」
「君はどこから?」
「私は日本」
「えっ、君のほうが遠くない?」
「え、あっ…そうか…!」
なぜか頭の中でこんな図が出ていた私。笑
お互い遠くから、念願かなって、このロンドンに来たんだね。
しばらく2人でビッグ・ベンを撮ってから、
「じゃ、ありがとね!」
「うん、またね!」
と別れたのでした。