デュッセルドルフの川辺で出会ったピーター。
今日は、2014年、ドイツ・デュッセルドルフに滞在していたときの話です。
私は、到着してから最初の4泊 は駅近くのドミトリーに、もう4泊はライン川を渡った先の静かな住宅街にあるユースホステルに泊まっていました。
ユースホステルは駅からかなり歩くし、長い長い橋を渡らないといけないけど、街並みや、辺りを歩く人たちのようすを見るのがとっても楽しくて、てくてく歩いて帰っていました。
そんなある日の昼下がり。
駅の方から橋を渡り、静かな街へ下りていくと、橋のたもとの横断歩道の信号が赤に変わりました。人気もないし、車が通るわけでもない。渡ってもいいかな〜?と左右を確認、そのまま左の方面を眺めていると‥
カサッ、
視界に入っていた、川沿いのきれいな芝生の景色の中で何か動いた!
(えっ‥)
たまにありませんか、視界の中で何かが動くこと。
私はこの現象がキライである。
とてもキライである!
だって、動いたものがよく見ると 虫 だったりするじゃないですか。
あの(っ‥あッ!!!)てなる感じ。あれが嫌なのだ!
なんとなく不穏な空気が漂いながらも、
なんだ…?何が動いたんだ……?
しかもなんか茶色っぽかったし……
と、目を凝らして芝生の中を見てみると…
パパーン!
ええぇ!
う、うさちゃん!(ちゃん)
うさぎ、うさぎが‥!
うさぎがいる!
誰かー!!
人気のない場所で大興奮しながらきょろきょろする我。
が、誰もいない。
まあいいや、とりあえずお近づきに…と、そろそろとうさぎの元へ近づくと、
ハッ、こっち見た!可愛い!!
「おいでおいで~」
そろそろ…
ピョンピョン!
逃走するうさちゃん。
ああっ!待って…!
…チラッ
…ん?
この感じは、どこかで…
ふと思い出される祖国の情景。
Oh…
OK、うさちゃん。ごめんごめん。
もう近づかないよ。
写真を撮ってからそっと遠ざかって歩道に戻り、また信号が赤なので立ち止まりました。
いや〜しかし、どうしてあんなところにうさぎが…?
人馴れしてないんだな〜。
昔は誰かが飼ってたけど、今はもう川辺で暮らしてるとか?
かわいいうさぎの写真をカメラで確認しながら横断歩道を渡ると、昨日見つけて気になっていた、道のかどのオシャレで小さなレストランの前におじさんが立っているのが見えました。白いコック服を着たガタイの良いおじさんは、腕を組んで仁王立ちで川のほうを眺めている…
あっ、あの人にうさぎのこと聞いてみようかな。
でも、よく考えるとどうでもいいしな…
あとでググればいっか。
おじさん、ちょっとコワそうだし…
…いや!
気になることは聞かないと!
これも、出会いだ!
「あ、あの…」
「…?」
「あの、さっきあそこにうさぎがいたんですけど…」
「……」
(えっと‥「野良うさぎなの?」ってどうやって聞けば?わからないな、どうしよ)
おじさんは無言で私の顔をじっと見ている…
「あの、あのうさぎは…えっと、誰の?なんですか?」
「…(だれの…?)…」
という顔で眉をひそめて遠くを見るおじさん。
(ああっ、どうしよう、「誰の」なんて聞かれても困るよね、「誰かが飼っていたのがいつの間にか川辺に住むようになったんですか?」って…英語でなんて聞けばいいんだろ??)
「えっと〜、あの、どうしてあそこにうさぎがいるんですか?」
「…(どうして…??)…」
(ああっ、ダメだ、ごめんなさいおじさん、変なこと聞いてしまった!)
固まるおじさんと私。
(もうお詫びして撤退しようかな!)と思った瞬間。
おじさんはおもむろにジェスチャーを見せてくれました。
「(穴掘って、)」
「うんうん、」
「(寝てる!)」
「ハッ…!」
「OK?」
「うんうん!」
ムキムキのおじさんが見せてくれた(寝てる!)のジェスチャーがこちら。
(※イメージ)
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か、かわいい!! 😂
「そっか、ありがとうございます!」
おじさんにお礼を言って、また歩き出しました。
へ〜、うさぎって穴掘って、その穴で寝るんだ…!(かわいい)
やっぱ、野良うさぎなんだな…!多分!(おじさんかわいい)
宿に帰り着き、ベッドで今あったことをメモしていると。
…ああ!そっか!
野良じゃなくて、野生のうさぎなのか!!
日本にも野うさぎとかいるじゃん!そうだよ!!
ようやくその点に気がついた私。
てことは…
ここは…ヨーロッパだし…
リアル・ピーターラビットてこと!!?✨
かくして、静かな部屋でひとり大盛り上がりする私であったのでした。