なにか書きたい。

30代になっても自由に、思いのままに、なにか書いています。

マニラの街で写真を撮っていたときの話。

 

2014年の夏、2回目のフィリピン留学の帰り道、首都マニラに立ち寄った。

セブの街に慣れている私にとって、マニラはコワーイコワーイ危ない街。

ちょっと道を歩いているだけで、睡眠薬強盗らしきおばちゃんが声を掛けてくる怖ろしい街。(とてもしつこかった。)

 

私と!私のカメラは!

絶対に!無事に!

このマニラから出る!

 

絶対にだ!!!

 

 

日本を一歩出れば、どんな持ち物も誰かから狙われていると警戒しなくてはいけない。

ましてや大きな一眼レフカメラなどは、それはそれは高く売れる代物で、首からぶら下げて歩くなど言語道断。留学先のセキュリティーのおばちゃんに「ちょっと!何考えてるの!バッグにしまいなさい!こうして!見えないように持って歩くの!!」と怒られてしまうのだ。

 

でも私は…

私は、写真を撮りに来たんだ!

 

いっぱい撮りたい!撮る!

カメラ、出して歩く!!

 

よって、ひとり厳戒態勢。

少し歩いては、あたりの様子をキョロキョロ伺い、また少し歩いては、背後を確認。

そんな様子をおもしろそうに見てゆく人々。

 

フィリピンの人たちは本当に明るくって楽しい、愛らしい人たち。

疑うような態度で歩いてごめんね‥ただ、強盗だけを警戒しているんだよ、、

でもそんな私のことをニコニコと見てくれる。

 

 

しばらく道を歩いていると、小さな屋台の下からおしりを出して寝ているワンちゃんを発見。

 

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あはは、カワイイ〜!

暑いもんね〜、パシャパシャ…

 

… 

 

……はっ…

 

何やら視線を感じる…

 

よ、横目に見えた、見えたぞ……

 

目つきの鋭いお兄さんが…見てる…

 

こっちを見てるーー!!!泣

 

 

危険を感じた私はひとつもそちらを見ることなく、そろそろと、その場を立ち去ろうとした。

すると…

 

「…ちょっと」

 

(((((( ヒイイイィィィィィイ ))))))

 

 

「……はい?…」 

「それ、ちょっと、撮ってみてくんない」

 

「こ、これ?これ?」

「そうそう、」

 

「あっ、撮っていいの?お兄さんを?」

「そうそう、」

 

 

*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

 

 

パシャー!

 

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「わ、見てー!お兄さんかっこよく撮れたよ!」

「おお‥ホントだ(ニコ)」 

 

「えへへ、ありがとう。じゃあ、」

「おう」

 

おもむろに立ち去ろうとすると、

 

「20ペソ!」

 

さっき後ろにサッと入って写り込んできた男の子が手を出してきた。

 

「20ペソ!払え!」

 

一瞬で血の気が引いた。

今の今まですっごく素敵な瞬間だったのに。

 

(どうしようどうしよう…)

 

 

「やめろ」

その子の方を見ずに、お兄さんは言った。

ピタッと動きを止める男の子。

 

「ごめんな、行って。ありがとう」

「ううん、私もありがとう」

 

後ろの男の子はまだ何か言っていたけど、お兄さんはニコッと送り出してくれた。