旅の写真 9
ドイツ/デュッセルドルフ
「写真撮ってるのかい」
みたいなことを話し掛けられて、カメラを下ろした。
見ると、お昼もやってるバーかな、
渋くてオシャレなお店の前におじさんが立っていた。
「フォトグラファーだ!」
「えへへ」
「ちょっと、撮ってみて」
そのときの一枚。
フィリピンではよく「撮って♪」と言われるけれど、
ドイツでもそう言われたことに、何だか感激した。
「よーし、いっぱい撮っちゃうね〜〜♪♪」だ。
そんな風に言える人たちが暮らしてる街って、国って、
人と人とのふれあいが、どこにもここにも溢れてるところなんじゃないかな。
そう思っていたから。
日本でも「撮って」と言ってくれる人はいるのかな。
とりあえず東京はそういうノリ?ない気がする。
私も「撮って」なんて言えないし、思いつきさえしないレベル。
まず、写真を撮ってもらうのにも慣れていない。
写真に写る自分を見るのって、なんだか恥ずかしいし。
「写り悪っ!」なんて思うし。
でも、「撮って〜♪」と言える人たちを見ていて、私はそんな人たちみたいには自分のことを思いっきり愛せてないのかな、なんて思ったりもする。
おじさんの写真、横のもかっこ良くて好きだな。
「見て見て〜!」
「おお、いいな〜〜!さすがフォトグラファーだ」
「えへへ、ありがとう」